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★『月光綺譚』より~流星群の夜

 椅子に凭れて窓の外に映る星を眺めながらウトウトとして、気がつくと時計は21:30を廻っていた。 もうこんな時間か 月の綺麗な夜だったので、何だかこのまま眠るのも惜しいと思い、僕は散歩に出る事にした。クローゼットから上衣を取り出して、靴を履いた時に振り返って時計を見ると10分過ぎていた。 そのまま外に出て、月明かりに照らされた舗道をいつもの四つ角の方へと歩いた。すると突然、目の前を一条の眩しい光がさ...

★『月光綺譚』より~長い夜

 満月の晩に、誰もいない細い路地を独りで歩いていると、僕の歩く前方に自分の影が細長く伸びているのが見える。辺りはやけにしいんと静まり返り、ただ靴音だけが夜に溶け込むように響いている。それだから僕はいつしか自分の影を追いかけるようにして歩いていた、間延びした空気の中を。それにしても、さっきからずっと気になっていることがある。確かに今夜は満月だが、この影は少し長過ぎるんじゃないだろうか......その...

★『月光綺譚』より~水晶の夜

 全てが硬質のもので出来ている夜、両手を上衣のポケットに入れながら独り坂道を歩いていると、やがて坂の向こうにオリオン星座が見えて来た。路傍には落ちた夜露が幾つも光っている。このまま坂を上って行くと、いつか空のオリオン星座まで辿り着けるような気がして、僕はどんどん歩いて行ったのだった。それで、ちょうど見晴らしの良い処まで来たものだから、ガードレエルにちょこなんと腰掛けて、暫し幾千もの街の灯を見下ろし...

★『月光綺譚』より~星座探しの夜

 タクトくんの家から歩いて帰る途中、人っ子ひとりいない深夜の路地をぽつぽつと歩いていると、向こうの十字路の真ん中に少年が立っていてじっと空を見上げているのだった。春にしてはまだ少し肌寒い夜のこと。 「こんばんわ」 「あぁ、こんばんわ」 「君は其処で何をしているの?」 「星を探しているんです」 よく見ると、その手には星図盤が握られているのだった。この街にも星を探す人がいたのだと、僕は何故だかホッとし...

★アトリエ空中線・間奈美子さんのこと★

 掌編集『月光綺譚』制作の打ち合わせで、アトリエ空中線主催の間奈美子さんと何度も打ち合わせを重ねる中で、非常に有意義な時間を過ごさせて頂きました。研ぎ澄まされた感覚を持った方というのは、やはり不思議な魅力というか存在感があって、少しの時間でも多くの刺激を受ける訳です。間さんはちょうどその頃、旧い硝子のボタンを使った作品を手掛けていらして、ご厚意でそのうちの1つを頂いたのですが、ちょっとムーンストー...