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★『月光綺譚』より~星座探しの夜

 タクトくんの家から歩いて帰る途中、人っ子ひとりいない深夜の路地をぽつぽつと歩いていると、向こうの十字路の真ん中に少年が立っていてじっと空を見上げているのだった。春にしてはまだ少し肌寒い夜のこと。

 「こんばんわ」

 「あぁ、こんばんわ」

 「君は其処で何をしているの?」

 「星を探しているんです」

 よく見ると、その手には星図盤が握られているのだった。この街にも星を探す人がいたのだと、僕は何故だかホッとした。

 「あれはアメヂスト座、この季節には、もうすぐ見られなくなる」

 はてな、そんな星座があったっけか、と考えていると、そんな僕を見透かしたように言うのだった。

 「いいの。どうせぼくが勝手に作った星座だから。だけど、どうしても見つからない星がある」

 「それはどんな?」

 「昨日失くした星」
 
夜道を歩きながら僕も考えた。僕も自分だけの星座を探してみようかな。夜空に浮かぶ星をじっと見ていると、自分は星の光で出来ているような気がして来る。ジッサイそうなのかも知れないが、今夜は何も考えずに眠ってしまおう。

 少年は星を見つけたろうか。


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