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★『月光綺譚』より~水晶の夜

 全てが硬質のもので出来ている夜、両手を上衣のポケットに入れながら独り坂道を歩いていると、やがて坂の向こうにオリオン星座が見えて来た。路傍には落ちた夜露が幾つも光っている。このまま坂を上って行くと、いつか空のオリオン星座まで辿り着けるような気がして、僕はどんどん歩いて行ったのだった。それで、ちょうど見晴らしの良い処まで来たものだから、ガードレエルにちょこなんと腰掛けて、暫し幾千もの街の灯を見下ろしていると、教会の尖塔に三日月が引っかゝっているのが見えた。おや!と思った時、突然僕の後ろの方から一陣の風が吹き上げたかと思うと、夜露の雫が空高くに舞い上がった。それは水晶の欠片であった。一筋の滑らかな線を描いてそれらは一斉に夜空へと飛び去って行く。それは即ちMilky-Wayである。

 その光景を見ながら僕は、"嗚呼、もう季節が変わるのだな"と、そんな事を感じていたのだった。




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