FC2ブログ

Entries

★『月光綺譚』より~流星群の夜

 椅子に凭れて窓の外に映る星を眺めながらウトウトとして、気がつくと時計は21:30を廻っていた。

 もうこんな時間か

 月の綺麗な夜だったので、何だかこのまま眠るのも惜しいと思い、僕は散歩に出る事にした。クローゼットから上衣を取り出して、靴を履いた時に振り返って時計を見ると10分過ぎていた。
 そのまま外に出て、月明かりに照らされた舗道をいつもの四つ角の方へと歩いた。すると突然、目の前を一条の眩しい光がさっと通り過ぎた。一体何だったろうと思いながらそのまま歩いていると、シルクハットを目深にかぶった全身黒ずくめの紳士がこちらに近づいて、僕に声をかけてきた。

 ―私の連れを見なかったかね。ちょっと目を離した隙に逃げられてしまってね、、

 僕は何のことだかさっぱり分からなかったので、一体何の事だと訊ねると、紳士は

 ―だって今夜は流星群の夜ですよ

と、僕のすぐそばまで来て、耳元で囁いた。

 僕は何故だか一瞬ヒヤリとして、そう言えば今夜は牡牛座の流星群がやって来る日だった事を思い出した。ハッとして振り返ると、もう紳士はどこにもいなかった。

 気がつくと僕は靴を履いたまゝ椅子に凭れて微睡んでいた。時計は21:30だった。夢の続きでも見ていたのかと思ったが、馬鹿々々しくなってそのままベットに入って寝てしまった。
 
 きっと誰にでも自分だけの時間というものが、ある。





にほんブログ村

にほんブログ村
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する