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★『月光綺譚』より~星座探しの夜

 タクトくんの家から歩いて帰る途中、人っ子ひとりいない深夜の路地をぽつぽつと歩いていると、向こうの十字路の真ん中に少年が立っていてじっと空を見上げているのだった。春にしてはまだ少し肌寒い夜のこと。

 「こんばんわ」

 「あぁ、こんばんわ」

 「君は其処で何をしているの?」

 「星を探しているんです」

 よく見ると、その手には星図盤が握られているのだった。この街にも星を探す人がいたのだと、僕は何故だかホッとした。

 「あれはアメヂスト座、この季節には、もうすぐ見られなくなる」

 はてな、そんな星座があったっけか、と考えていると、そんな僕を見透かしたように言うのだった。

 「いいの。どうせぼくが勝手に作った星座だから。だけど、どうしても見つからない星がある」

 「それはどんな?」

 「昨日失くした星」
 
夜道を歩きながら僕も考えた。僕も自分だけの星座を探してみようかな。夜空に浮かぶ星をじっと見ていると、自分は星の光で出来ているような気がして来る。ジッサイそうなのかも知れないが、今夜は何も考えずに眠ってしまおう。

 少年は星を見つけたろうか。


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★美とerosに就て

 “美”と“eros”―似て非なるものですが、しかしよく綯交ぜにされてしまうものであります。即ち、性の対象を“美しい”と表現してしまうあの感覚…厳密にいうとそれは“eros”であって、必ずしも“美”であるとは限らないというのに。“美”と“eros”との境界線を探るにあたって、まずそれらを切り離して考えるとするならば、対象となるのは女性では無くて男性―それも少年でなければなりません。性の対象であるか否かというところとは別次元で、然しながら其処に少なからず“eros”も介在するというその曖昧な境界線。
“eros”は往々にして生殖行動と直結する為、それだけ生産性が伴うといえます。逆に“美”にはそれがありません。即ち“美を追求する”という事は生産性を排除する事であるともいえそうです。“美”に執着するという事は、それだけ死に近づく事なのかも知れません。『ベニスに死す』のアッシェンバッハのように。。
 “美”と“eros”とを混同するその錯覚が無く、例えば“美”のみを感知し続けたならば、おそらく人類は絶えてしまう事でしょうから、その錯誤こそはきっと人の世の自然なのでしょう。そして“eros”の中に“美”を見出そうとする事は、何処かで生の果ての“死”を見ているのかも。そう思う時、誰の意思でもない宇宙意識の中で存在して居る事を実感したりもするのです。我々の感覚もまた、宇宙のそれなのだ、と。

 月光百貨店では"宝石を見詰める少年~少年美と鉱物と稲垣足穂的eroticsの夜"を開催中。同展は30日まで★

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★美と哀しみ・久保田昭宏作品展に寄せまして―

 道端に落ちている石ころが、みんな宝石だったなら、それでも人はそれをキレイだと思うでしょうか、そしてそれを欲しがるでしょうか。
 美しいものに憧れるというのは、実はとても哀しい事なのだと思います。だから美しいものというのは、即ち哀しいものなのです。"綺麗なものが好きなのは誰だって同じだよ"という人もありますが、本当にそうでしょうか。皆が皆、美意識のある生活をしていたなら、世界はもっと美しいもので満たされていなければならない筈。しかし誰でもが毎日を美に囲まれて生活している訳ではなく、日常というのは得てして味気のない殺風景なものです。そんな中で美に対する憧れが強ければ強い程、自分の周囲の日常にそれが極めて少ないという事実に対する失望もまた強くなる—でもだからこそ何とかして美しいものを見つけようとする訳です。そして自分の理想とする美の世界が、あまりにも現実と乖離していたなら、それはもう自ら創り出すしかありません。其処に作者の輝きと、そして或る種の哀しみとを垣間見つつ共感したりもするのです。久保田氏の作品を観ていると、そんな事を改めて思います。

 久保田昭宏展・箱の中の月Part,1。月光百貨店にて明日23日から開催です。コラージュと写真の技法を併せて独自の世界を創造する氏の関西で初となる作品展。日常であって日常で無い―そんな密やかなる空想世界を心ゆくまでお楽しみ下さい。


P,S,
余談ですが、"美"という文字って、何だかゲジゲジみたいであまり美しくないと思うのは自分だけでしょうか。。

箱の中の月


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★ジョバンニの独り言Ⅱ★

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今夜は少し肌寒くて、何だか『銀河鉄道の夜』でもしづかに観たい気分です。。Blu-rayは持っていないのでDVDで。DVDといえば、このDVDがちょっと謎なのですが、何故かパッケージデザインが地味に数種類出ておりまして、全部で何種類あるんだろう?そしてどういう意図でのデザイン変更でしょうか?まさか複数買いを目論んだ訳でも無いでしょうに。。

ginga1.jpg 一番よく見かけるのがこれ。

ginga2.jpg ginga3.jpg 他はもしかしたら限定デザインだったのかも知れません。

ginga4.jpg このデザインは初めて見ます。

DVDは初回盤のみピクチャーディスク仕様で、"特製コースター2枚付き"だったのですが、星まつりの円形広場のデザインで。だけどどうせならずっとピクチャー仕様にすればいいのにネ。発売当時には限定で複製セル画が貰えたらしいのですが、詳細は未確認です。

トップに載せたのは映画資料用スチルです。同じものを自宅アトリエにも飾っていますが、大勢の人で楽しそうに賑わう中に独りポツンと佇むジョバンニが、何だか自分を見ているみたいで...親近感(―といっていいのか判りませんが)、のようなものを覚えてしまう、そんな秋の夜でした。。

店頭でも販売しておりますので、お手に取ってご覧下さい★



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★薔薇の雫 第七号発行の由★

 フリーペーパーの新号を発行致しました。これは元々自主出版に先駆けて、そのデモンストレーション用に創っていたものだったのですが、エッセイ部分が未完のままでもう何年も放置したままになっており、壊れて動かなくなってしまったPCから友人が今回データを救出してくれたのでこの際に、と思った訳です。
 出版については、まだまだやりたい事がたくさんありまして、内容については充分に吟味をしないといけませんが、既に次回作のタイトルも決まっていて、装丁の雰囲気も概ねこんな感じで、というイメージも出来上がっています。あと実験的な作品も創ってみたいし、フリーペーパーの文章も+αでいつか纏められればと思います。ただ、何事においてもそうですが、実現するのはナカナカ大変で...乗り越えなければならない山が幾つもあります。だからといって何もしない訳にも行きませんから、色々と策を巡らせるこの頃です。

 フリーペーパーは、過去のバックナンバーも店内にて閲覧できるようになっておりますので、宜しければお手に取ってご覧頂ければと思います。。

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